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病気

高齢者のインフルエンザ罹患率と死亡率 予防接種の有効性、副反応

2017/02/21

 寒くなってくるとインフルエンザが猛威を振るいだします。
 11月になると、インフルエンザの予防接種を考える方が増えてくるのではないでしょうか。
 その中でも、抵抗力の弱い高齢者や幼児に対しての予防接種は、
 副作用など心配が大きいと思います、
 そこで、高齢者のインフルエンザ予防接種の有効性についてまとめてみました。

 内容的には、
  1、高齢者のインフルエンザ罹患率と死亡率
  2、高齢者のインフルエンザ予防接種の有効性
  3、インフルエンザ予防接種の副作用、注射時の注意点
           
 と、なっています。

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高齢者のインフルエンザ罹患率と死亡率

    
  まず、2015年度のインフルエンザについてです。
  厚生省ホームページの情報を元にしています。
  
  インフルエンザの流行
   開始は11月下旬頃、ピークは1月中旬から下旬であった。

  インフルエンザの罹患率
   高齢者のインフルエンザ罹患率は全体の13%と高くはない

  インフルエンザの死亡率
   

インフルエンザによる死亡者は、高齢者が全体の90%を占めている。

   高齢者への予防接種が定期接種となった2002年以降は死亡率は低下している

  インフルエンザの合併症
   入院加療が必要な患者は、高齢者が全体の約55%を占めている。
   (全国すべての病院のデータではなく、基幹定点病院のデーターのもの)
    高齢者は前年の2倍となっている。
    人工呼吸器やICU利用率は、60歳以下より高い。
    頭部の検査を受けた率は、60歳以下より低い。
   インフルエンザ脳症は60歳以上で19%を占める。

  <まとめ>
  高齢者のインフルエンザ罹患率は決して高くはありませんが、
  罹患してしまうと、肺炎や脳症などの合併症を併発する可能性が高く、
  インフルエンザによる死亡率も高齢者が大部分を占めています。

  
  高齢者は、持病がある方が多く、罹患した場合の憎悪因子を持っています。
  また、若者と違って、身体が反応する力が弱くなっています。
  どういうことかというと、何か病気になっても症状出現が遅かったり、
  出にくかったりします。知らないうちに、重症化してしまうことがあります。
  これらが、合併症を多く併発することにつながっています。
  体力の低下もあることから、重症化した場合、
  若者に比べ、命を落としてしまう可能性が高くなります。

高齢者のインフルエンザ予防接種の有効性

インフルエンザ予防接種の有効性

 北里第一三共ワクチン株式会社によると、
 流行株の予測が当たった時の有効性は70~90%といわれています。
 これは健康成人で調べられたものであり、
 型別にみるとA型の有効性は80%前後で、
       B型は一般的にA型より低く50%前後と報告されています。

 これは、
 予防接種してもインフルエンザにかかってしまう人がいることを示しています。

インフルエンザ予防接種の効能

 インフルエンザ予防接種は、弱毒性のウィルスを体に入れて、
 体に抗体を作らせることが目的です。
 軽ーくインフルエンザにかかる感じです。
 軽すぎて、症状が出ないことがほとんどです。

 抗体があると、インフルエンザウィルスが体に入ってきた時に、
 体がウィルスのことを覚えているので、
 インフルエンザウィルスに対して、すぐに対処(撃退)できます。
 インフルエンザになったとしても、
 撃退する戦士がいる分、症状が軽くで済みます。

 抗体がないと、体がインフルエンザウィルスのことを知らないので
 戦う態勢を整えるまでに時間がかかり、
 インフルエンザになってしまう可能性が高くなるのです。

高齢者にとってのインフルエンザ予防接種の意義

 インフルエンザワクチンの目的とは、
 1、インフルエンザの予防
 2、インフルエンザにかかってしまった場合の重症化の予防

 の二つです。

 そして、大事なのが、2の重症化の予防です。
 前高齢者においては肺炎に進行して生命を脅かす例がふえてきています。

 このことからも、インフルエンザの予防はもちろんですが、
 インフルエンザにかかったとしても、
 重症化を防ぐ意味で予防接種は有効であると言えます。

インフルエンザ予防接種の副反応・注射時の注意点

インフルエンザ予防接種の副反応

 平成24年度の報告数として、
    副反応報告数 301件(予防接種した全人口の0.0006%)
    うち重篤   53件(          0.0001%)
    死亡     4件(           0.000008%)
 と、なっています。

 実際の臨床場面で感じるのは、注射部位の発赤やかゆみなどは、
 半数程度に出ていますが、
 その他の症状や、重篤な副反応が出現する方は、稀です。
 
 
 そして、予防接種の副反応が心配で接種を迷っている方が
 いらっしゃると思いますが、予防接種の目的は、
 罹患して重症化する確率>予防接種の副反応の重篤化の確率
 となります。
 参考にされてください。

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副反応
 予防接種を受ける医療機関でも、説明を受けると思いますが、
 参考にされてください。
 
 注射して30分以内程度に出てくる副反応
 ・アナフィラキシーショック
   口内の違和感がある、呼吸しづらい、呼吸困難、くしゃみ、
   喘鳴(呼吸音がヒューヒューする)が出る
   顔面が紅潮する、熱感がある、
   吐き気がする、嘔吐する、血圧が低下する、めまい
   →最悪の場合、血圧が低下します。
    呼吸の異常、口内のかゆみなど自覚された場合は、
    緊急で医療者に伝えてください。
    然るべき処置で、血圧の低下や呼吸の異常は対処できます。
    注射後30分程度は病院内にいてください。
    (会計などしていても問題ありません)

 
 注射した直後から数日以内に出てくる副反応
 ・過敏症(2~3日以内におさまる)
   皮膚:発疹等、じんましん、湿疹、かゆみ
   全身:発熱、悪寒、倦怠感(だるい)、一過性の意識消失、めまい、リンパ節が腫脹、
   消化器:嘔吐、嘔気、腹痛、下痢、食欲不振
   →症状がつらければ、受診しましょう。
 
 ・局所症状:注射を打った部位におこる(1~6日以内におさまる)
   発赤がある、腫脹する、硬結がある、熱感がある、疼痛がある、
   小水疱ができる
   →基本、受診が必要になる方はいません。
    臨床で感じることは、この症状は半数程度には出現します。
   
 ・神経系障害
    顔面神経麻痺等の麻痺がある、頭痛、失神、しびれ感、振戦
    →受診しましょう。

 ・消化器
   嘔吐、吐き気、腹痛、下痢、食欲不振
   →こまめに水分を摂りましょう。
    2日以上続く場合は受診しましょう。
    特に高齢者は、脱水になり入院が必要となる場合もあります。

 ・筋・骨格系
   関節痛がある、筋肉痛になる、筋力が低下する
   →筋力の低下がある場合は、受診しましょう。
   →関節痛、筋肉痛が段々ひどくなったり、1週間続くようなら受診しましょう。

 ・眼障害
   ぶどう膜炎(視力低下、飛蚊症:目の前にゴミのようなものが見える、痛み、充血)
   →受診しましょう。

 注射した直後から数日間にかけて出現する可能性のある副反応
  (医療機関で治療を要します)
 ・急性散在性脳脊髄炎
   発熱、だるい、頭痛、悪心、嘔吐等、
   その後、髄膜刺激症状(頭痛、嘔吐、項部硬直、発熱)
   片麻痺、失語、運動失調、四肢麻痺、昏睡等

 ・ギラン・バレー症候群
   末端から順に両手両足の力が入らなくなる、手足がしびれる、
   寝たきりになる、呼吸困難等

 ・肝機能障害
   だるい、食欲低下、吐き気がする、黄疸がでる等
 
 ・喘息発作
   息切れする、せきがでる、ヒューヒュー鳴る、息苦しい等

 ・血小板減少性紫斑病、血小板減少
   皮膚や粘膜等の出血症状や紫斑(しはん)や青アザがある、
   歯ぐき出血、鼻血、黒い便がでる、血尿等

 ・血管炎
   発疹足や腕に紫色や赤いアザができる、だるい、発熱、血尿等

 ・間質性肺炎
   発熱、咳がでる、呼吸困難、動悸、息切れする等

 ・脳炎・脳症
    発熱、吐き気、嘔吐、意識障害、言語障害、記憶障害、ふらつく、
    けいれん、反応が鈍くなる、昏睡等

 ・脊髄炎
   胸から下のビリビリしびれ感がある、背中や腰が痛む、両足に麻痺がある
   排尿障害、排便障害、四肢の麻痺、四肢の感覚異常等

 ・視神経炎
   片眼または両眼の急激な視力の低下、見ようとする部位が見えない、
   眼球を動かすと目の奥が痛む、視野全体に霧がかかる等

 ・皮膚粘膜眼症候群
   皮膚がまだら模様に赤くなる、水ぶくれ、発熱、関節痛、目の充血等

 ・ネフローゼ症候群
    尿が泡立つ、むくみ(まぶた足の高度なむくみ)胸水(呼吸困難、咳)
    腹水、心嚢水(呼吸困難、動悸、吐き気等)、体重増加等

 などの副反応があります。
 調子が悪いなと感じた場合は、参考にされて医療機関を受診するようにしてください。

受診時の注意
 
 受診時の体調
  体調が良い時に予防接種を受けるようにしましょう。
  持病がある方は、かかりつけの病院で確認しましょう。

 受診時の準備
  保険証
  お薬手帳
  ご自分のアレルギー、既往歴がわかるようにしておく
  (用紙にまとめておくと、便利ですよ)
  補助が出る市町村もあります。事前に確認しておいてください。
  

まとめ

 インフルエンザにかかってしまうと、大変つらい思いをします。
 高齢であればあるほど、重症化する可能性もあります。
 予防と重症化予防のため、予防接種は重要だと思います。
 しかし、稀ですが、予防接種により重症化してしまうケースもあります。
 選ぶのは、ご自身もしくはご家族です。
 どちらを選択しても、後悔がないようにしたいですね。
  
 うちの母は、予防接種で一度体調を崩してから一度も受けていません。
 実際の臨床場面では、2度目は大丈夫だったという方も結構いらっしゃいます。
 一度副反応が出た方は、次回から要相談となります。
 娘としては、受けてほしいということを伝えていますが、
 でも、頑固として受けないので"(-""-)"
 体調管理と感染予防をしっかりするよう促していますよ。

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