チックやトゥレット症候群の治療
チックやトゥレット症候群を抱えているお子様への対応は難しいですよね。本人が気にしていなくても、周囲の大人は色々と考えてしまいます。本人が気にするようになった時、保護者の方は本当にお辛いことだと思います。受診するべきか。受診したら、どんな事をするのか。など、気になることが多いと思います。今回は、チックについての一般的な治療についてまとめました。
※一般的な事についてまとめています。必ずしも、すべてのお子様に当てはまるとは限りません。参考にのみしていただくようお願いします。
チックの治療方法 3本柱
⓵見守る ⓶心理的療法 ⓷薬物療法 の3つです。(詳細は下記)
慢性チック単体だと、心理的サポートを受ける場合もありますが、薬物療法まではしない事が多いです。トゥレット症候群だと、症状がひどい時だけ薬物療法を行うことがあります。また、チック以外に強迫性障害やADHDなどの合併症を持っている場合は、そちらの治療を優先することが多いようです。
経過を見守る
チックやトゥレット症候群は、年齢とともに軽減することが見込めます。そのため、「経過を見守る」という事も、治療法の1つとなります。
症状を消そうと思うのでな症状に対してどう対応していけば、ひどい時期を乗り切れるか。ということです。
⑴良く観察します。全体像をつかみます。
何がきっかけなのか。どういう時にひどくなるのか。本人の辛さはどうなのか。学校での生活は、どうなのか。など。
⑵対応を考えます。
心理的な事であれば対応の検討。周囲の環境を整える。物理的なものであれば、それを少し減らす。
チック症 発症年齢や発症率 症状と分類 チックの進行
チックやトゥレット症候群 家庭での対応の仕方 心構えや叱り方
チックやトゥレット症候群 こだわりやパニック 強迫観念への対応
心理的療法
本人含め保護者の方の不安や悩みが強い時に心理的療法を行います。心理的な治療というよりは、悩んでいる本人や保護者の方を支えていく役割になります。
【支持的心理療法】
本人や保護者の方の悩みを聞きながら、その苦痛や悩みが何によるものかを説明します。そして、本人や保護者の方が自分自身で、その問題に対する方法を見出せるよう関わります。人間は話を聞いてくれるだけで楽になることもあります。専門家に聞いてもらい、専門的な知識をもらうだけで、ココロが楽になることもあると思います。
【遊戯療法】
お子様が幼い場合、自分で自分のココロを伝えることが出来ない場合に行います。一緒に遊びながら、ココロの状態を理解して対処方法を探る治療法です。
【行動療法】
本人に自分の行動を認識させ、それを適切な方法に変えていけるように練習を積み重ねていく方法です。「~~しないでいられない」という衝動のある慢性チックやチックに伴う強迫症状(やめたいと思っても不安でやってしまう)の改善に期待できます。しかし、本人に意識させる事でさらにひどくなる事もあります。強迫症状については、本人が不安を克服できずに挫折することもあります。治療効果が期待できる反面、間違えるとひどくなる事もあるので、指導者と一緒に計画的に進めていくことが重要です。下記は行動療法の1つです。
例1)Aちゃんは、ものを触ると手を洗わないと不安でしょうがない。
⇒ 自分の行動を分析する(手を洗う行動で不安を解消していたが、その行動を取ることで、より不安が増強して、行動したくなる衝動が高まっているという認識を持つ) ⇒ 実際にものをさわる(不安な環境に身を置く) ⇒ 手を洗わないで過ごす ⇒ 不安は続くが手を洗わないでも不安がおさまる(洗わなくても問題なかった事を再認識し褒めたり一緒に喜ぶ)
例2)Bくんは、瞬きをしないといられない(瞬きすると落ち着く)
⇒瞬きしたくなったら、違う行動をする。例えば、しばらく1点を凝視して瞬きをしないように意識する ⇒ この行動を1日数回行う ⇒ 出来たら褒めたり一緒に喜ぶ
というような感じとなります。他にもあるようです。また、わかったら追加していきます。
薬物療法
上記治療では、対処できない時や、症状が強くて日常生活に支障をきたしたり、自分や他人に危害を加える時には対象となります。薬物を使用するからといって、完治は出来ません。症状緩和が目的です。症状が軽くなれば中止します。
【どんな薬か】
チックやトゥレット症候群の方は、脳内伝達物質であるドパミンが過剰に活動しています。このドパミンを抑える薬が処方されます。7~8割のお子様には効果があるようです。しかし、副作用もあります。医師や薬剤師にしっかりと説明してもらい副作用の確認をしながら保護者の方が管理して、服用することが重要です。また、飲み続けると効果が薄くなることもあります。軽くなったら休薬することも重要です。
最後に
チックがひどくなったら、症状を見守るだけでなく治療法がある!と思えれば、ちょっとした自分の気持ちの不安軽減につながるかなと思います。とにかく大事な事は、自分ひとりで抱え込まないことです。お金がなくても話を聞いてくれる社会的な支援もあります。
また、私の子供は5歳でトゥレット症候群とは言われていません。が、もし、そうなってしまったら、日本トゥレット協会に入ろうと思っています。同じような悩みを抱えている方がいるということ自体が大きな味方です。日本トゥレット協会 tourette-japan.org/入会ご寄付について/ お金かかるけど、最新情報も得られます。
色々な方法でお子様の未来を考えていきましょう(#^.^#)